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Day By Day

いろいろ書いてるチラシの裏です。

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久しぶりに書いてみた。

先日、某様のところに、とてもかわゆい鼻顎童話が書かれておりまして。
なんだか本当に胸キュンさせて貰いましたv

全然行ってないもんなあ。@関係のサイト。^^;
自分でもビックリするくらい、ざっくり切れたもんなあ。

でもW`∀´)川ノー゚)は好きだし。
同人誌買って失敗してるし。←表紙に騙された。
そのあたりは変わってないんですけどね。

で、久しぶりに。ふたりを書いて見ましたよ。
現代パラレルで、おまけに年齢設定は中学生。(笑)

お暇でしたらどうぞv
折りたたんで隠しておきました。(笑)





『繰り返す夏』

「で、泣きついたってワケ?」
「る、るへーっ。泣いてねーッつーの」

 たまに通る車のタイヤ音。
 吹き込む風が、薄いレースのカーテンを揺らす。

 窓の外には憎らしいほどに照りつける太陽。

 ずびび、とコテツは鼻をすすると、思いっきり背を丸めて膝を抱える。

「成長してないの」
「るせーっ」

 テーブルの上に積まれたワークブックを手繰り寄せると、イズモはくすりと笑った。

「あの英語の宿題なんて、『絶対君たちには無理ですから』って言うんだぜ。
 頭っから無理なもん、出来ッかってーの」

 すねた三白眼が、イズモを見て、またぷいっと窓の外を向く。

「オレ、終わったけど」
「うっそ」
「だって書き写すだけだろう? 量は多かったけど、ノルマ決めて、暇な時につぶしてったら終わってたけど」
「~~~~~~~~ッ」

 声にならない声を出して、今度はいきなり反り返ってラグの上にひっくり返るコテツ。
 予想通りの行動に、必死で笑いを堪えるイズモ。

「だったら頑張んないとさ。あっという間だよ」
「う~~」
「手伝ってやるよ。試験で泣くのは見え見えだけどさ」

 ぴょこん。
 起き上がると、にまあっ、と猫のように目を細めて。
 
「わかりやすい奴」
「やーっぱ、イズモだよな。イズモはぜってーに断んねーもんなー。優しいよなー」
「高いけどな」
「ひ」
「さ、オレ数学するから。コテッちゃんは写すだけの英語して」
「オレ数学」
「いいから英語して。コテッちゃん赤点すれすれなんだから」
「う……」



 
「どうするのさ。夏休み明日で終わりだよ」
「どうするって~~~」

 半べそをかいて鼻をすするコテツに、イズモはどう声を掛けていいのか判らない。
 とりあえず自転車を玄関の脇にとめると、コテツの後に続く。

 ちらかった子供部屋のランドセルの中は、ほとんど時が止まっている。

「夏休みワーク。二ページしかしてないの?」
「う」
「日記は? ……四日間だけ?」
「う~」
「工作は……、一緒に作ったよね?」
「お、おう」

 イズモは背負ったリュックの中から、きちんと完成したワークや日記帳を取り出した。

「日記はさ、夏休みボクと遊んだ事書いてあるから。あとお天気も。それを写して。
 ボクがワークするから」

 ずびーっ、と鼻をかむと、コテツは大きく頷いた。
 跳ね回る髪が揺れて、真っ黒な日焼けした顔に、にかあっと白い歯が光った。

「来年はちゃんとさ、宿題一緒にしようね」
「うん」
「コテッちゃんすぐに遊びに行っちゃうからさ」
「イズモは、いつの間に宿題してんだよー」
「いつの間にって……」





 イズモは、コテツの母親が差し入れた麦茶を、ごくり、と飲んだ。

「いつの間に宿題してたって……。その愚問。何年聞いてると思ってんの?」
「う」
「コテッちゃんがテレビ見たり、ぐうぐう寝てたり、マンガ読んでるその時間にしてるんだよ」
「……あい」
「ったく。来年はもう助けないからね」

 がりがりがりと、文句を言われながらもシャーペンを動かしてた手が、止まる。

「そっかあ。来年はオレ達高校生なのかあ……」
「……何しんみりしてんのさ」
「そっかあ。うん。オレ、もっとしっかりしねーとなあ……」

 ぱふ。
 イズモの手が伸びて、コテツの跳ね回る髪を、くしゃりと撫でた。

「一緒の高校に行きたかったら、もっと勉強しないとさ」
「お、おめーがレベル下げればいいんじゃん」
「やだ」
「ケチ」

 くしゃくしゃ。
 猫のように撫でると、睨みつける三白眼。

「なんだかんだ言っても、コテッちゃんは『やれば出来る子』なんだから」
「あんだよ。それ」
「だってさ、数学絶対クラス五位には入るじゃん」

 にかあっ。
 つり目が糸のように細くなる。

「一緒の高校に、行こうよ」

 糸目が少し丸くなる。
 ゆっくり節くれだった指先が伸びて、頭の上のイズモの手を掴んで、下ろす。

「……行きてえな。おめーと一緒の高校」
「だろ? だったら、さ。頑張ろうよ。一緒にさ」


 小学生の頃から何度も何度も使った、夏休みの呪文。
 それは笑えるくらい簡単に、コテツに効いてくれる。


「まだ一週間あるんだからさ」
「だな。ガキン頃みてーに前日じゃねーもんな」
「泊り込み合宿、する?」
「するする」
「じゃあ明日から。今日はとりあえず単純なのをやっちゃおう」
「おう。あ~、なんかおめーがいてくれっと、やる気出るのな~」

 くすり、とイズモは笑う。
 まるっきり去年のトレースなのに、本人は気付いてないんだろうか、と思う。
 目の前のコテツは立て膝猫背で、必死に英文を写している。

「来年の夏はどうなってるのかな」

 小さくイズモは呟くと、一度見た事のある数学の問題に目を通す。


 レースのカーテンが揺れる。
 遠くでセミの声。

 汗をかいたグラスの中の氷が、からり、と音を立てた。

16:36 2009/08/24

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