届いた本は短編映画を模して描かれたものらしくて、短い物語がいくつか詰め合わされていた。
そのピースは、今まで手に入れてきた本のどれかの隙間に納まるらしいが、それがどこなのかは記されていない。
波のようだ。
波のように、見るたびにその位置が代わり、感覚も変わる。
でもそれは、自分が逆にその作品群をきちんと据えて見ていなかったんじゃないのかと、思ってしまう。
寄せては返す波を捉えて、固めるわけにはいかない。
画像に収めても、寄せ来る波なのか、遠ざかる波なのかすら誤解する。
弾けた刹那が頂点なのか、まだ寄るのか、もう終わりなのか。
自分の思ったとおりの終わりを見るまで安心できないんだろう
臆病者
作中のセリフが自分に向けられているかのような錯覚に、苦笑。
不思議と痛みはなく。
本当に、苦笑。
波は捕らえる事が出来ない。
寄せてはかえし、どこかに消え去る。
はるか古代に海だったという日本の高台の岩のような自分は、
二度と手に触れることのないその波を、
未だに昨日のことのように語るのだろう。
はるかな地平線の向こうにあるそれを。
まるで自分の傍らに寄せるように。
自らの身に纏いし古代の海の名残をなぞりつつ。
ありがとうございました。
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