私は、子の、足だ。
たとえば今日みたいに、学校が午前で終わりの時は、電車の都合で二時間あまり遅れてしまうので、迎えに行ってる。
車で往復20分。
途中で寄り道すればもう少し遅くなる。
それでも電車より早い。
子は言う。
「私は車の免許を取らない」と。
それは、このど田舎で暮らしていくのに、必要不可欠な足を持つことをしないという宣言だ。
街にでも出て行くのかと思ったら。
「母ちゃんに乗せて貰うで」
だと。
今日も午後から車で片道半時間の古本屋に行けと言われたが、却下してやった。
修学旅行の残りの金を、全部使い切るつもりなのか?
ゲームソフトを買ったり、フィギュアを買ったり。欲だけは果てしない。
いい加減にしろ。
バイトもしなかったくせに。
早く仕事を探さないとな。
仕事をしてる時は、ここまでバカなあてはされてなかったんだ。
今のままじゃ召使だ。運転手だ。足代わりだ。
ったく、冗談じゃねえし。
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